ショッピング、その前に。 ~ここが違うよ@フィリピン~ 『お店に入る時』
↓まずはこちらの写真をご覧ください。↓
↑この写真に写っているのは、そう、イケメンガードマンと金属探知機のゲートですよね。
では、このゲートのある場所はどこでしょう?
空港でしょうか?…それとも、政府機関か金融機関?
はい、正解はショッピングモールでした!クリスマスシーズンの写真なのでリースやツリーが奥に見えています。
そう、ここフィリピンでは、レストランやショッピングモールは、日本のように誰もがいつでも自由に出入りできる訳ではないんです。スーパーや大きなモール、レストランから映画館に至るまで、入り口にはガードマンが配置されていて、セキュリティ・チェックをしているんです。
セキュリティの一例をあげると、まずは入り口に金属探知機のゲート。その前や横に銃を肩に下げた複数のガチムチのガードマン。探知機をくぐった後には更に別なガードマン達が腰にはピストルを帯び、手には棒状の金属探知機を握って、入店する一人一人をスキャンするため待ち構えています。時にその傍らには大型犬が身を潜めていたりします。この犬は訓練された麻薬犬で、麻薬の所持を嗅ぎ分けるのです。ドゥテルテ大統領が麻薬撲滅に力を注いでいることが私達の身にも関わってくる一コマです。
つまり、ウィンドーショッピングでもしようとモールに行ったとすると、私達はショッピングのその前に次の6つのステップをクリアしなければならないのです。
①まずはお店の入り口でガードマンに鞄を広げて見せたり渡したりして中身のチェックを受け、②問題なしとしてそれを返してもらい、③金属探知ゲートのアラートを鳴らすことなくくぐり抜け、④更には棒状の金属探知機で体をスキャンしてもらって安全と認定され、⑤しかもそれらの全てを横に控えている麻薬犬に吼えられることなく済ませる。そうして初めて、⑥晴れてショッピングが許された客の身分を手に入れる、というわけです。
正直この6つのステップ、ちょっと大げさすぎません?楽しくショッピング、っていう気分に水を差されません?とかも思っちゃいました。緊張しましたもん、何も知らずに出くわした最初の時。言葉も分からないし、日本のお買い物でこんな目に遭ったことないし。目はキョロキョロ、汗はタラーリ、呼吸はハァハァ、動きはギクシャク。完全に挙動不審だった自信がありますw。
でも後から知って納得の理由がちゃんとありました。
理由の一つ目は、フィリピンは銃社会だってこと。こちらに来てから知りました。警察の許可・登録を受けた合法的な銃器もあれば、登録切れや未登録の銃器・密造銃も広く出回っていて、これらを使用した犯罪が多くあるということです。銃が施設内に持ち込まれないよう対策してるわけなんです。
犯罪件数についてみてみると、フィリピン国家警察の発表によれば2018年の犯罪発生件数は約47.5万件。殺人事件の件数はなんと日本の約8倍!強盗事件は日本の約6倍!グローバルノート社によると、2017年世界の殺人発生率国別ランキングでは、人口10万人当たりの殺人発生件数が世界で42位とアジア圏ではダントツのNo.1、いや、ワースト1?だったのです!
二つ目はテロの脅威。貧富の差の激しいフィリピン。貧しい農民の多いミンダナオ島の西部以西の地域では、現状の変革を期待して過激なイスラム組織に入る人々も多く、また活発に活動しているといいます。2019年12月までフィリピン政府は、フィリピン全土にテロの脅威があるとして、 全土で国家非常事態宣言、ミンダナオ地域全域には戒厳令を出している状態でした。
2020年1月1日まにら新聞Twitter Web Appによると、戒厳令が2年6か月ぶりに解除されたとのことですが、 外務省『海外安全ホームページ』 を見ても、日本外務省によるフィリピンの渡航安全度は変えられていないようです。特に沢山の人でごった返す大きな商業施設はテロリストの絶好の標的になるため、特定の時期には近づかないよう注意書きまでされています。
三つ目にストリートチルドレン、物乞いや物売りの存在。フィリピンの貧富の差はとても激しく、貧困層がとても多いと言われています。特別な地域を除いた都市部にはスラムがあり、町や観光地を歩けば物乞いや物売りと出会うことも普通にあります。
私の経験では、マニラから少し離れた田舎のコンビニの店内に物乞いの親子が陣取っていて、子どものほうが終始私と夫につきまとい、手に持ったしおれかけた花を買ってくれ買ってくれとせがみ続けられたことがありました。まだこちらに来たての頃で戸惑ってしまい、買う予定の物も買わず、急ぎ足で退店してしまいました。ガードマンを入り口につけているお店ではそういった行為をする人を店内で見たことがありません。
がっちがちのセキュリティ、それはこういったテロや犯罪等の危険から私達を守るため。中に入れば物盗りに銃を突きつけられることなく、また、ドラッグで心神耗弱状態になった誰かから襲われたり物乞いにつきまとわれたりすることもなく、安心して楽しい時を過ごせるため、ということなんですね。
さて、こうして理解したセキュリティ・チェック。ケータイと財布が入るくらいのポシェットならばスルーしてくれることも分かったので、バッグとは別に貴重品を持ち歩くポシェットを使うことにしました。そしてひと月もすると慣れたもので、店の数メートル前からエコバッグを広げておいて見せる準備をし、行きつけのモールのよく見る女性のガードマンの方には笑顔で挨拶できる程になっています。(にっこりして “Hi!” と言うだけですw)
現在のコロナ検疫のための入国制限が解かれて自由に入国できるようになったら、皆様もぜひフィリピンに来て日本との違いを楽しんで頂きたいと思います。その際は、ビルの出入口では華麗にチェックを通って、お出かけを存分にお楽しみ下さいね♪
《追記》 この記事を書いている間に更にセキュリティがアップして、『体温チェック』が追加されました。2020年2月上旬には、持ち物検査の前にもう一人ガードマンが配置され、来客一人一人のおでこに体温計の赤外線をピッピッと照射して検温していました。新型コロナウィルスの世界的蔓延の影響です。
※↓ロックダウン下のモールについてはこちらの記事をご覧ください↓
『~速報~ ロックダウン緩和@フィリピン ~BGCのモールが動く!~』https://nirure.com/philippines/easing-lockdown-gcq-mecq-community-quarantine-metro-manila-covid-19/