毎日の飲み水の確保、どうする?@フィリピン
着いたその日から必要なのが食べ物飲み物ですよね。引っ越してきても船便の荷物は3週間後、航空便でも1週間ほど待ちますよね。いくらお米や日本の食材を豊富に送っていても住まいにたどり着いたときにあるものはスーツケースに入れた少々の荷物。安心してください。ありますよ、スーパーが。お肉やお魚は日本よりも安いことが多いしフルーツも豊富、お野菜もまずまずあります。
でも、忘れちゃいけないのは飲み水!飲み水の準備が必要です!世界で水道水が飲料に適している国は日本を含めてほんの15か国しかないといわれているのをご存じですか。しかもその日本でさえ最近はインフラの老朽化などで地域や個人によっては浄水器を使ったりお水を買ったりしていますよね。
ここフィリピンでは、水道は通っていてシャワーや洗濯などにも使えますが、飲料には適していないので飲み水は別途用意する必要があるんです。水道水が飲料用ではないわけは様々あるそうですが、水道水は汚いわけではなくむしろきれいにするために使われる塩素の濃度が高いからだという説と、インフラ設備が整っていないため水がきれいなまま各蛇口まで届かないのが理由だという説とを見聞きしたことがあります。フィリピンには雨期があって、6月~10月には日本で近年都心で増えている“ゲリラ豪雨”のように短時間に激しく雨の降る日が続きます。その季節にはフィリピン政府が水道水を飲まないようにと人々に勧告するということですし、実際に豪雨の続いた後の水道水は心なしふだんより濁って見える日もあったので、どちらの説も的を射ていると思えます。
飲料用のお水はコンビニやスーパーで500mℓペットボトルで10ペソ位(2019年12月現在で25円位)から売っています。日本ではジュースやお茶などと同じく100円以上するのが普通ですが、それに比べるととっても安いんです。生存に関わる生活必需品の最たる水、それを買って飲むしかないので安くしてあるんですね。フィリピンでは富裕層はごく一握りで、非常に多くの国民がどちらかというと貧しい暮らしをしていて、更にはスラム、路上、墓場などで想像を絶する程の貧しい暮らしをせざるを得ない人々もとてもたくさんいるんです。最近の日本は経済が衰退し続けているために様相が変わってきているとはいえ、それでもいわゆる中流階級の国民の層が厚い日本とフィリピンとでは様子がだいぶ違っています。そういうこともあって誰の生活にも必要なもの、基本的な飲料や食料については貧しくても買いやすい値段にし、その代わり贅沢品についてはぐっとお値段をあげるという経済の設定にしてあるようです。
では、飲料水が必要なのはこのあと毎日、自宅で料理をするならほぼ毎食のことになるので、毎日スーパーに6㎏や8㎏ものお水を買いに行かなくちゃいけないのかというと、そうではありません。ウォーターサーバー用のお水のデリバリー等がとても発達しているんです。なので当面のボトルウォーターを確保したら、次にウォーターサーバーを用意しましょう。日本でも最近はオフィスなどにはよく置いてありますよね。電動式で冷水、お湯、常温、と欲しい温度の注ぎ口にコップや器をあてるだけで出てくる、あれです。本体はショッピングモールや Ace Hardware(エース・ハードウェア) などのホームセンター的なお店に並んでいたります。ちなみに、私がよく利用するSM Aura、エス・エム・オーラというモールでは、上述のホムセン、Ace Hardwareにウォーターサーバーの扱いはなく、SM Aura Supermarket(エス・エム・オーラの地下にあるスーパーマーケット)の小さな家電コーナーに幾種類か並んでいて、一台のお値段は4,500~6,000ペソ、2019年12月現在で大体10,000円前後から売られていました。
そしてこのウォーターサーバーは機械の上部や内部に20ℓなどの大きな水のボトルをセットする形になってるので、この特大ボトルの飲料水を調達する必要があります。二つやり方があって、一つはデリバリーしてもらう方法、もう一つはお店まで自分で汲みに行く方法です。デリバリーならば配達して貰う契約や注文をデリバリー店とすればおk。デリバリーは水の製造販売会社のTehra Pure(テラピュア), Aquabest(アクアベスト), Wilkins(ウィルキンス)なども扱っているといいますし、Google Mapでwater deliveryで検索するだけで近所のデリバリー店がそこここに現れるはずです。それくらい生活に密着して発達している経済活動なのです。
自分で汲みに行く方法は、上部のタンク (英語でwater container, ウォーター・コンテナと呼ばれている )をいくつか購入し、このタンク=コンテナが空になったらお店に持って行って水を詰めてもらいます。詰め替え用を含めて最低2本のコンテナがあればうまく回していけますし、大人数で暮らしたり水を多めに消費する方ならばもっと予備があってもいいかもしれません。 コンテナをリユースする点はエコ的で“いいね!”と思っていますが、水を詰め終わったコンテナを自分で家まで運ばなければならず、水が25ℓならば25㎏以上あるので、車やカート的な台車とそこそこの筋力に強靭な腰がないと厳しさが残るかと思われます。 中にはお勤め先の会社や住むことになるコンド(=コンドミニアム、マンションのことをそう呼ぶ)で手配してくれたり情報をくれたりすることもあると聞くので、評判のいい業者を尋ねてみるのもいいと思いますよ。
で、私がウォーターサーバーを探しに行った時なんですが、店員さんに英語で「ウォーターサーバーはどこですか?」というつもりで、正しい英語かどうかわかりませんが、“Where can I see water servers?”(ウェア ケナイスィ ワーラ スーヴーズ)と聞いたんです。英語で現地の方と話すのにまだ慣れていない頃だったので結構気合を入れて声をかけたのですが、“?”と、きょとんとされてしまいました。…。
その後、日本人にとって発音のしにくさでは鬼門ともいえる “er” と “v” と “er” が連続配置されたこの “server” という鬼ワードを、舌や前歯や下唇の筋肉を総動員で繰り返し発音したあげく、身振り手振りで何とか通じたのですが、結論としてはウォーターサーバーの扱いはなく、キャンプなどで使うような蛇口つき貯水タンクしかなかったという悲しい結末でした。後になって、もしかすると英語ではウォーターサーバーとは言わないのではないかと思いgoogle先生に聞いてみると、どうもwater dispenser(ウォーター・ディスペンサー)のほうが通じやすそう、とのことでした。ディスペンサーなら下唇に血のにじむような苦労をせずに発音できたのに…と再び唇を噛んだ私なのでした…。ウォーター・ディスペンサーが発音のしやすさで個人的神ワードに浮上した日となりました。
さてさて、そんなこんながありましたが、皆様の参考になることがあれば嬉しいです。次回、“水のおはなし@フィリピン~その2~”では、このように苦労して手に入れたこの水に苦しめられた私の体験談とその解決策をおすそ分けします。